
山岸君と照井君
第32章 好敵手―――……
米屋は…静かに深呼吸をする…
まだ――――…
1ヶ月も立っていない俺たちの関係…
米屋は…思い込みでも…
【愛】に狂って―――――…
俺達を…傷つけた――――…
【愛】の恐ろしさを…
俺は、初めて知った――――…
苑心をまだ……
好きな米屋は……今……
愛敵である俺を目の前に…
何を思うのだろう……
「ふっ――――…
そんな顔をしないでくれないか?
私は…今でも、苑君が好きだけど――――――…
前とは違う感情の“好き”だから……
もう――――…」
米屋は…
乾いた笑いを俺に見せる……
そこには…
俺の知らない米屋がいた…
「――――…なんか…米屋…
変わったな―――――…」
米屋は、目を見開き……
顔を真っ赤にする…
「――――…その顔…
不謹慎だ―――…
米屋のせいで…こっちは極限の遠距離恋愛になったつ〜のに」
米屋は、罰の悪そうな顔をすると…
頭をポリポリっとかいた…
「―――…悪かったよ…
私も山岸家の苑君への対応には…驚いているんだ……
私自身も…岳心さんが拾わなかったら…
医院長に何をされていたか…」
