
触れたくない。
第2章 二
なぜこんな仲になってしまったのか。
それは、介抱してもらったお礼にと、倒れた次の日にここを訪れたのがきっかけだった。
幸い、その日は仕事は休みで。しっかり眠れたから足取りは軽く。
帰り道を覚えていたため、なんの迷いもなくそこに到着することができた。
『うわ、こんな大きかったんだ…』
昨日は体調が悪い上に暗かったから気がつかなかったけれど、太陽の下で見ると、とても立派な屋敷だったらしい。
少し古さを感じるも、花や木に囲まれるここはとても綺麗な場所だと思った。
『ああ、それより昨日の人いるのかな』
お礼のものは何がいいのかわからなかったから、適当に和菓子を買ってきたんだけど…。
屋敷には人の気配もないし、もしかしていないのかな?
『仕方ない。明日の帰りにまた来よう』
和菓子は明日ももつだろうし、と踵を返した時だった。
