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触れたくない。

第2章 二





『別に構わないよ。毎日同じことの繰り返しだったから、飽き飽きしてたんだ』



『そ、そう、ですか』



うわあ…どうしよう…。目、見れない。



ドギマギして、声も少し震える。



『もしかして、今日はそのお礼に来てくれたのかい?』




ああ、そんな弾んだ声をださないで。そんなに嬉しそうにするのなら、本格的な和菓子屋さんで買えばよかった。




なんて後悔していると、いつの間にとったのか。なんと彼は、持っていたはずの紙袋を漁りだしたのだ。



『ほう、和菓子』



『すみません…あの、お好きじゃないなら違うものを持ってきます』



『違うもの?例えば?』



ええ?!そうきますか!と、咄嗟に顔をあげると、思った以上に近くにあった彼の顔に、はっと息を飲む。



涼しげな濡れた瞳が、まっすぐにこっちを見ていて。たまらず固まっていると、それがゆるりと緩まり。




『君がいい』




耳を疑う言葉が、鼓膜を響かせた。






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