
触れたくない。
第3章 三
そして、カケイはなんの躊躇いもなくインターホンを押した。
いやいやいや!!早過ぎやしませんかカケイ君…!心の準備が一つもできてないんだけども・・・。
そんな気持ちを込めて視線を送るも、完全スルーである。
「カケイ、やっぱり私、」
「あら、椎名ー!思ったより早かったのね!」
『無理です』その言葉をかき消すほどの大きな声が聞こえたかと思えば、
ガラッ!!!
勢い良く開いた扉と共に出てきた人物に、目が点になる。
嘘、カケイに抱きついてる…、というか、カケイが女の人に抱きつかれてる!!!!!
「母さん、あんまくっつかないで」
「いいじゃない、久しぶりなんだから!!それより婚約者さんはどこ?嘘じゃないでしょうね?」
「嘘じゃないしそこにいる」
「え?あら?あらあらあら?まあー!!!本当だわ!パパ、パパー!!椎名がお嫁さん連れてきたわよー!!」
「…こ、こんばんは。初めまして
。カケイさんと「本当かいママ、待ってねすぐにトイレ済ませるから!」
お願いだから誰かこの騒がしい人たちをおさめてほしい。
話す暇もなくカケイのお母さんには抱きつかれ触られ、後から来たお父さんには色々質問され、
その癖ここに連れてきた本人は知らぬ顔。
まるでお祭り騒ぎのそれに、最後には私はぐったりとしていた。
