
触れたくない。
第4章 四
「…なんだか、奪われた気分だな」
「え?」
ぼそりと七瀬さんが何かを言った気がするけれど、「なんでもないよ」と笑顔で誤魔化された。
頭の上でハテナマークを浮べていれば、とんっ。肩を押され、再び畳の上で仰向けになっていて。
「話を聞かなくとも、何らかの事情があることはわかった。
それに、そんなに可愛くねだられれば断ることはできないよ」
その上に、七瀬さんが覆いかぶさった。
すると、
「しかし、これは君の頼みだからじゃなくて、たった今君を抱きたくなってしまったから抱く。
だからこの首輪は暫し忘れてもらうよ」
「、」
チャリ。七瀬さんの長い指でネックレスが外され、机の上に置かれる。
それを目で追っていると、
「きゃっ?!」
突然視界が反転し、はっとした時にはなぜか七瀬さんが下にいた。
「な、七瀬さん?」
「今日は君が上」
しかもまさかの発言に、私の熱は急上昇し、ぼんっと爆発しそうになる。
そんな私を、明らかに七瀬さんは楽しんでみている。
