
触れたくない。
第2章 二
「しかし」
唐突に手首をつかまれたかと思えば、ぐんっと強く引っ張られる。
驚いたと同時に、私の体はぽすりと彼の冷たい胸の中に収まっていた。
ふっと、七瀬さんのサラサラの黒髪が頬にかかって、急激に熱が上がる。
「君がここに来るのは心地がいいだけだからだろうか?」
「な、七瀬さん、団子が潰れます、」
「期待しているからではないのか?」
こうされることを。
その言葉を皮切りに、私の唇は冷たいソレに塞がれていた。
「ンッ待って、団子が…、」
「君はどこまで団子を心配するんだ」
くすり、と呆れたように笑われて、恥ずかしさでカッと熱が上がる。
けれど、それを下げるように再び七瀬さんの冷たい唇が触れるから、心地よい。
