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conqueror

第6章 春雷

そんなところに、このまま進んだら、歩道から見られてしまうかもしれない。

「大丈夫だよ。その前にエリナが逝ったら、やめていいから。エリナはいつもすぐに逝くから、問題ないよ。」

彼が笑いながら言った。

そんなことを言われても、もうその道まで、5分もかかりそうにない。

そうでなくても、信号が多いせいで、たびたび車が止まる。

その度に、歩道が気になって、集中できない。

「あぁ、早く。」

なかなか、逝きそうにならなくて、焦りが出てしまう。

「指を止めずに、激しく動かし続ければいい。」

そう。

気にせずに、指を動かし続けたらいい。

わかっているのに、どうして、できないの?

「それはね、無駄なプライドのせいだよ。」

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