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conqueror

第6章 春雷

私はそっと、動かし始める。

横断歩道を渡る人を、不安気に見ながら。

「あぁ。」

一度は堪えていた声も、また、出てしまう。

感じていて、目を閉じたくなってくる。

だけど、目を閉じるのは、怖い。

誰かに見られるかもしれない不安が、目を閉じさせない。

車は、中心部に向かっているみたいだった。

このまま、直進していったら。

「コウさん、あの、どこに、向かっているんですか?」

「うん?別に決めてないよ。」

「あの、でも、このまま、進んだら。」

私は、手を休めることなく尋ねた。

彼はそれを満足そうに、見ている。

「このまま進んだら、エリナが、思ってる通りだよ。歩道の工事をしてるから、一車線になってて、車の流れがよくない道だね。」

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