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複雑なトライアングル

第1章 ♥入学試験

珍しく風雅がしゃべった。

しかも、今回は答えを教えてくれた。
リゼは小さく舌打ちした。


「え、あ、ちょっとしたキラキラネーム?」

「そう」

「風雅って無駄な知識が多いよな~・・・
 あっ、待って!殴らないでッ」


絡みは相変わらずだ。


「るなちゃんかぁ…名前からしてかわいい」

「会う時が楽しみだな。
 俺の部屋の奴は中学の時いた奴」

「オタクだった記憶しかないな」

「そうそう。なんかそれがキモいとかで
 女子にいじめられてた。
 最終的には不登校になっちゃったんだ」


それは男が止めるのは難しいな。
女子って友達がいればなんでもできる!
とか思ってる人が多いもんね。

…私もだけどさ。


「会ったらたくさん遊んであげなよ」

「言われなくてもわかってる」


...なんだろう。
この懐かしい感じは。


「…あ。もうこんな時間か。
 悪いけど、俺帰るわ」

「え、もうそんな時間だっけ?」

「恥ずかしい話、俺まだここで
 暮らすための準備が終わってないんだ」

「へえ。じゃあ行ってらっしゃ……」



エレノアは、今までの出来事を思い出した。

自分は入学試験が簡単だからといって、
ここに入った。

この学校のことをまったく知らずに。


イコール……




自分も準備ができていない。



「私もだ!私もだ!帰らないと!!」

「え、あ…じゃあ私も帰ろう」

「俺も」



そんな感じで、
初めて学校に来た日は終わった。

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