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複雑なトライアングル

第1章 ♥入学試験

~体育館~



泣き声、歓声が響いている。
なんだか戦争をしてるみたいな…

体育館から出る人はほとんど泣いている人だ。
それを慰めようとして背中を撫でる人は
大体歓声をあげている人を睨みつける。

女子って怖い。
私も女子だけど、正直そう思った。


「私たちは一体受かっているのだろうか…!」

「あ、わからないと思うから言って
おくけど、
 あれ受かってる人だけじゃなくて、
 クラスとかの結果も書いてある。
 あと、同居人とか、部屋の場所とかも 書かれてるから」


リゼは簡単な言葉で言った。
おかげでエレノアは「なるほど!」と納得している。



ボードの前に立ち、自分の名前があるか
確認する。


エレノアエレノアエレノア、エーエーエー・・・





あった。



「ノア、あった? 私はあった…」

「あったよ! あった!!
 頑張って良かったぁ」


そこで、初めてリゼの最高の笑顔を
見れた気がする。


そんな喜びに包まれた空気の中、
あのイケメン二人が戻ってきた。

どうやら結果のボードは女子と男子で
別れているようだ。


「どうだった? 二人とも」

「そりゃあまあ…二人とも余裕で合格
 だったよ!」

「おお。良かったな。
 俺らも合格だ。
 友達は…不合格だったけど」


そうなんだ…と、変な空気にした
時雨を私は許さない。


「んで、風雅。今のお気持ちは?」

「は? あー・・・嬉しい」

「…とまぁ、風雅はこんな感じで
 不器用なんだ。迷惑かけそうで俺しんぱ…
 いでッ!」


1日に何回殴られるんだこいつは。

それにしても、風雅の殴り上手だなぁ。
人が失神しちゃうよ。


私が軽く笑っていると、視線に気づく。

視線を感じるほうを向くと、そちらには
女子たちが私に悪口を言っているようだった。

私は無視をした。見ていない振り。


「同居人と、部屋の場所はどう?
 まあ高い確率で同じ部屋で試験した
 奴と同じになるみたいだけど」

「ちょ、ちょっと待ってて」


私はボードとにらめっこ。
一秒でもはやく見つけようと思った。

そうして、見つける。


「リゼちゃんと私と…綺麗な月…?」

「読めない?」

「う、うん…綺麗の麗と、お月様の月…」


四人はうーんと唸る。


「るな」

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