
不良に良好
第4章 4
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キーンコーン、とベタなチャイムが鳴り、昼休みを告げる。
「あー…」
今日は割と寒いし、屋上はやめとこっかな。
どっか人気のない場所なかったっけ。トイレ以外で。
「海崎くん」
「んー…」
いじめっ子Aこと、相川だった。
「よかったら一緒に食べないか?」
は?いきなりなんだコイツ…
俺は警戒心を悟られないように、少し口角を上げた。
「俺、手が離せないんだよね。申し訳ないけど」
「何か用事でもあるのか?」
君みたいな奴が?
とでも言いたそうだ。
「そうだよ。ね、陽太」
そいつはビクッと体を揺らしたあと、すぐ俺のほうを見た。
席は離れてない。小声でも、クラスに響かず意思疎通できる。
「先に陽太と約束してんだよね。そうだよな、陽太」
「う、うん、夕夜くん…?」
相川は、顔にこそ出してないけれど
さっきとは目の色が微妙に変わっていた。
「…へぇ。珍しい組み合わせだね。しかも、名前で呼び合ってるなんて」
「そうか?じゃ、またね。」
俺はカバンから財布と、妙に厚い本を持って
陽太に近づいた。
「ほらさっさと用意してよ。」
一瞬遅れて、陽太は弁当を持って後についてきた。
