
不良に良好
第4章 4
「じゃあ他の本は?」
「えっと…1冊だけなら」
「へー。プリーズ」
陽太は残り少なくなった肉まんを左手で持って、カバンを右手で探った。
出てきたのは…
「うわ分厚!!!こんなの入れてたの?」
辞書みたいな厚さの、でもサイズは小さい本が出てきた。
「うん…で、でも、おすすめだよ!マイナーだけど…」
どうやらお気に入りみたいだ。
本の持ち方がやけに恐れ多い、というか弱々しい。
「ふーん…借りてもいい?」
「もちろん!!」
この寒い中、汗でもかきそうなくらいにコイツは興奮していた。
そんなに面白いのかー…
俺は、なんだか、この本の何がコイツを魅せたのかが妙に気になって
つられて思わず優しく手に取ってしまっていた。
