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不良に良好

第4章 4



「いただきます」

「いただきます。」


俺は甘口カレーパン、陽太は弁当の風呂敷に手をかけた。

弁当の中身が気になって、カレーパンを食べるスピードが遅くなる。


ぱかっ と気の抜ける音がして、陽太の弁当箱が開いた。

「おー!うまそうじゃん」

全体的に茶色だったけど、俺はこういう味つけ大好き。

「少し食べる…?」

「食べる食べる、きんぴらくれ」


陽太は少し悩んだ後、箸できんぴらをつまんで
俺に近づけてきた。

「え?」

「えっ?」


これは俗にいう、あーん?
ですか?

「あっ…ご、ごめ、ごめ…お箸を貸せばよかった、ごめ…」


パクっ


「うまー」


行き場のないきんぴらに、俺は食いついた。

少し辛味がきいてて、歯ごたえも丁度いい。


「…本当、夕夜くんって…」


「何?あ、はいどうぞ」


俺が、持っていたかじりかけのカレーパンを陽太の口に近づけると、
迷った末に
陽太は恐る恐るかじりついた。


「えっと…俺、カレーパンは辛いのが好きだな」

「残念でしたー」


誰かと話しながらの昼飯も久しぶりな気がする。




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