bug's panic
第3章 混乱
何が起きた?
俺は足を止めた。電話が切れた。電池切れ?電波?それとも、、なにかあったのか?
わからない、確認するしかない。真美の職場はここから駅三つ分離れてる。なんとか歩いて行ける。
「誰に電話してたんだ、将吾?」
「ああ、なんでもねーんだ、はやくいこうぜ!とりあえず出入り口に向かおう。そうすりゃ、なんかわかんだろ!」
真美とはずっと一緒だった。高校に入って孤立してた俺に声をかけてくれて、それから何度か遊んで、初めてのデートではあいつと映画を見た。不良の映画だった。今思えば何故あんなものを見たのか、イケメンな俳優がいっぱい出る映画だ。映画館にいる他の女の子は誰々がかっこいいとか、そんなことばかり言ってた。俺の周りもみんなそうだった。けど真美は違った。おっさん俳優が死ぬシーンで、かわいそうだって泣いたんだ。初めて見た、そんなこという人。優しいんだなって心から思った。俺の荒んでる心を癒してくれる。真美がいなくなるなんてありえない。絶対助けてやる。
「よっしゃ!着いたぞ将吾!」
慶喜が先に降りていった。
「外はどうだ、慶喜!、、慶喜?」
慶喜が返事をしない。
急いで降りて外を見た。
俺も言葉を失った。信じられない光景が広がっていた。俺たちがいた世界ではない。真っ赤だ。すべてのものが
そして、、
巨大化した虫達が街を覆い尽くしていた。
慶喜は泣いている。絶望しているのか、腰を下ろし座り込んだ。
「なんだよ、これ。こんなん。みんな死んでん、、」
「うっせえぞ!!慶喜!!!」
認めたくない。こんなもの。夢か?妄想か?わけがわからない。とにかく
真美を助けに行こう。
「おい、将吾?なにしてんだ?おい!!」
俺がドアを開けようとしたその時横から衝撃が走り、俺は壁に突っ込んだ。
「、、、誰だ、くそやろう。邪魔すんじゃねえよ」
顔を上げた。
「遼太郎さん、、」
豊武 遼太郎
俺の上司である。俺と慶喜の面倒をよく見てくれていた。外見は怖いが実は優しい先輩で、俺たちが上の人たちに理不尽なことで叱られてる時なんかは、かばってくれたりしていた。その先輩が今俺の前で鬼の形相をしてる。
「将吾、、てめぇ何しようとしてんだ?」
「、、、真美を、彼女を助けに行くために外に出ます。」
遼太郎さんのため息が聞こえた。