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bug's panic

第2章 逃亡


なにがおきたのか、、

全く理解できなかった。後ろから不快な音が聞こえる。ゾンビの映画で人が喰われるときの音によく似ている。
振り向けない。怖い。時間が止まってるように感じる。
1人の女性社員の叫び声が静寂を破った。

時が動き始めた。

あたりはパニックをおこしている。

後ろを
振り向いた

信じられない。
トンボに人が捕食されている。
しかもトンボは真っ赤。例えるなら血のような色をしている。頭の先から羽も全て赤色に染まっている。

とにかく逃げよう、はやく、はやくしないと俺もああなる。はやく、はやく、はやく、、、

「将吾!!逃げよう!!!!」

足が動いた、慶喜の声だ。

俺たちは走り出した。

だが、重要なことに気づいた。
逃げ場などどこにあるというのか、、

「おい、慶喜!!どこに逃げてんだ!」

「外だよ!とにかく逃げよう!」

足が止まる。ちょっと待ってくれ

「外は、、安全なのか?」

慶喜の表情が強張る。

「、、、わからねぇよ!!!けどここにいたらみんなさっきのやつみたいになる!」

慶喜もかなり取り乱している。

「悪かった、一回落ち着こう慶喜。」

「ああ、俺も悪かった、、」

慶喜が続きを喋ろうとした時、何かが俺たちの間を縫って通り過ぎた。

ゴキブリだ。

普通のサイズのゴキブリだ。色もあの気味が悪いほど黒光しているあの色だ。
やはり、あの赤い雨のせいなのか、あの雨のせいで虫が赤い色になり、凶暴化巨大化したのか、、いや、もしかしたら人間も、、、

慶喜も同じことを考えていたようだ。

「なあ、将吾もしかして虫だけじゃなくて人間も、、」

「慶喜、外を見に行こう。まずそれからだ。」

俺たちは一階の出入り口に向かって走り始めた。あたりを見渡すと、他の社員もおどおどしている。泣き叫ぶもの。誰かに電話しているもの。パニックになり喧嘩しているもの。様々だ。
みんな心配なのだろう。自分の身が、そして大切な人たちの身が。
俺は、、真美が心配だ。俺の彼女だ。両親は遠く離れているが、真美は近くに住んでいる。落ち着いてさらに心配になる。
走りながら電話をかけた。一つの目のコールで出た
「もしもし、真美か!」
「将吾、、、」
「大丈夫か!今どこだ!」
「会社の倉庫にみんなで逃げたの、真っ赤なカマキリが会社に入ってきてそれから、、」

電話が切れた。

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