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ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.






…………!?


「っ……参っちゃうな…」

「ぇ…」


アタシを抱く彼の腕に力が込められる


「あお……っ…!」


柔らかい感触に遮られる言葉

名前を呼び終える前に重ねられた唇に驚いていると

アタシの肩にコトンと額を着けた彼がそっと息を吐いた


「ありがと…」

「…………」


葵…くん…!?


「あーあ…もうダメだ、オレ…」


………!?

ダメって…!?

さっきからよくわからない彼の様子に戸惑っていると


「…その言葉、ちーちゃんにまた全部返してあげるから…」


えっと…その言葉って…今、の…!?


"葵くんは葵くんだから…"


「っ………」


"ちーちゃんはちーちゃんのままでいいよ…"


彼にそう言ってもらった気がして、きのうの帰り道のやりとりと繋がって胸がギューって痛くなる


「だからオレはこっちを本気でもらうね…」


葵くんはそれだけを言うと、少し屈んでアタシに目線を合わせ、ニッコリと微笑んで口を開く




「ちーちゃんを……」




「……………!!」







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