その手で触れて確かめて
第3章 歪な夜の夢 (O × S × M)
「おいおい、お前ら、ヤる前からケンカすんなよ!?」
ソファーでふんぞり返る智が、
けらけら笑いながら俺らを煽る。
「で?どっちがどっちをヤるんだ?」
「何だよ!?他人事みたいに…」
「んなの、決まってんでしょ?」
智の言葉に毒づく翔の両手を押さえ込んだ。
「…俺がヤんの。」
拒絶の言葉を発しようとした唇を乱暴に塞ぐ。
藻掻く翔の腕を押さえつけながら、
唇の隙間を舌で抉じ開けるようにして捩じ込む。
甘声をあげるどころか、
くぐもったうなり声をあげながら、
俺の舌に歯を立てた。
「つっ…!」
余りの激痛に顔をそらし、口元を拭った。
「フッ…こっちの味もしょっぱいんだね?」
唇の赤の色とは違う赤に染めた唇を不敵に歪め、
翔は笑った。
翔の放った言葉を確かめる訳じゃなかったけど、
試しに、口元を拭った手を舐めてみた。
「ほんと、激マズ。」
「…だろ?」
「だろ、じゃないんだけど?」
「だろ、じゃ、なかったら何だよ?」
「ヤらしてくれんじゃないの?」
「オマエさ…」
いきなり、体を起こした、と思ったら思い切り突き飛ばされ、
怯んだところを逆に押し倒され、
見下ろされる。
「アニキに向かって何だ?その口のきき方?」
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