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sugar-holic

第12章 騙されたりしないんだから!!

「なっ…何!?」

前みたいに引き寄せられるかと警戒したのに。

ただ左手を掴まれただけで、引っ張られたりもなかった。

「何をされると思ったんです?」

「何って…」

左手を掴んだまま、倉田くんの親指と人差し指が、ブラウスの袖口近くをつぅっと撫でた。

「んっ…」

「何で夏なのに長袖?暑くないですか?」

「冷房対策!…ねぇ、ちょっと…」

ずっと手を掴まれたままなのが気になって、手を振り払おうとした。

でも、倉田くんは私の顔を見たまま、フフッと笑うと

「脈、速くなりましたね」

脈?それで手首触ってたの!?

「そんなことないでしょ!?」

「顔、赤いですよ?」

何なのよ!?

「もう…止めてよ。こういうの…苦手なの!」

赤いと指摘された顔を見られたくなくて、うつむき加減になってしまう。

すると、頭上から倉田くんの声が降ってきた。

「怖いんですか?」

「…何が?」

「俺の『手口』に乗せられるのが」

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