テキストサイズ

弱く儚く。

第5章 唯斗の好きなのもの。


「ねぇねぇ!見て見て!キリンっ!」

なんでこんなにはしゃげるのだろうか…。

「あぁそうだな。キリンだな。」

キリンを見てるより唯斗を見てた方が断然暇を潰せるのになー。

「あー!宇汰!つまんないんでしょー!」

もっと楽しめー!っと服を叩かれる。
乙女かよ…w

「楽しいよ。唯斗が一緒ならなんでも。」

そう言うと、急に顔を真っ赤にして俯く唯斗。
可愛すぎ。

「あ、ありがと。で、でもつまんないなら言ってね?無理はさせたくないから…さ…。」

なんだか酷く怯えているようだった。

「ん?唯斗どうした?俺は全然大丈夫だぞ?」

震える背中に手を当てる。
ぴくりと肩が震えたので、さすってやると落ち着いてきたようで顔を上げた。

「う、うん!ありがと!!大丈夫!」

急にいつもの調子に戻り無邪気な笑顔を向ける唯斗。

なにかあるな。

そう思ったけど何も聞かなかった。
俺だったら聞かれたくないから。

「次はふれあい広場に行きたいなー!!」

「おー!行くか!」

唯斗と俺は並んで歩きだす。

クレープ食べたいだとか、次はライオン見よーとか、
何気ない会話をしながらふれあい広場に向かった。

「動物たちには乱暴をしたりしないでくださいね。お膝に乗っけて優しく頭や背中を撫でてあげて下さいね。」

可愛らしいスタッフさんがモルモットを抱き抱えながら言った。

さっそく椅子に座って唯斗の膝にウサギを乗っけてやると、

「あったかい!可愛い!ふわふわ!」

幸せ前回な笑顔でウサギをなでまわす。

う、俺も撫で回されたい。

と、唯斗は満足したのか、ウサギを元の場所に下ろしてくるとそろそろ帰ろーかと笑った。

帰りにクレープを買い頬張りながら歩く。

「今日はありがとう!楽しかったよ!」

「あぁ。俺も楽しかった。動物園なんて何年ぶりだったかな。」

母さんと行ったことあったなー。
そんときは動物が少し怖くて…。

「宇汰?」

ぼーっとしていたようで、唯斗な袖を引かれた。

「あ、ごめんごめん。懐かしいこと思い出してな。」

「そっか!きっと幸せな思い出だね!宇汰笑ってたもん!」

ニコニコしながらそんなことを言う唯斗に微笑してしまった。

「見られてたかー」

「あはは!」

唯斗にはかなわないなぁ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ