
弱く儚く。
第2章 出会いは突然で。
そいつは、少し困ったように笑って
「ほら、よくこの辺通るだろ?犬散歩きてるじゃん?」
なんで知ってるんだろう。
「あ、あぁ。」
俺は素直に頷いた。
ビビのことかな‥。
毎日の散歩が日課だったのは事実だ。
「だから、公園で見かけたとき気になったんだよね。
だって毎日散歩してたのに通りで見かけなかったから」
そんなに見かけるもんなのか?
気づけば雨もやみ、静かな空になっていた。
心地いい風が入ってくる。
「俺、唯人。東雲唯人。」
急に告げられる名前に驚き自分も答える。
「柊 宇汰。」
ぼそりとぶっきらぼうに口にした名前。
「じゃあ‥よろしく!字汰っ!」
「よ、よろしく‥?あ、な、なんて呼べば‥?」
笑顔を向けられても、どうすればいいのかわからない。
「別になんとでも呼んで?」
それが一番困る‥。
「じゃあ、ゆ、唯斗‥?」
あっちと同じ感じの呼び方がベストだろう。
「よ、よろしく‥。」
「おう!」
あ、
唯斗のペースに巻き込まれてた‥。もうやだ。
「よし、じゃあ。ここに住む?」
「は?」
何を急に‥。
帰るって言ったよな!?
何考えてんだっ!?
