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第1章 Monday

俺のわがまま聞いてくれる田口も、何も言わずにそっと俺の頭をなでてくれる上田も、いつもよりずっと頼れるお兄ちゃんで。

なのに俺はそれに何か言えるほど余裕は残ってない。

むしろ黙っていることもできないくらい頭の中は不安でいっぱいだった。

「上田は、もし、俺が、上田の大切な人を奪ったら、俺のこと恨む?」

どうしても夢の中とは違うって自分に思わせなきゃ落ち着けない。

「最初は恨むかもしれないけど、その時に1番辛いのはカメだから、俺は恨まないよ。」

俺の目を見てまっすぐに言ってくれる。

その目がこれは嘘じゃないって言ってる気がする。

「それに、カメがそんなことするのはもっと大切な何かがあるからでしょ?光の後ろには影があるんだから、仕方ないよ。」

頭からあの声が消えたわけじゃないけど、少し余裕ができてきた気がする。

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