
残飯ガール
第3章 もう少しだけ…
「なんで私が首切られたみたいになるの!?」
「だから言ったじゃん、関わるのやめときなって」
「リストラされたサラリーマンの気持ちが一瞬わかったような気がする…」
そう言いながらあたしは、洗面所の蛇口をひねった。
隣では理紗ちゃんが化粧直しをしている。
「とにかくもう来なくていいって言われたんだから、久我くんのことは忘れな」
「……」
後味悪くなってしまったけど、美味しい仕事だった…。
「はぁ……お肉にイクラ……美味しかったな」
明日からまた日の丸弁当か……。
ジャーッ
その時、一番奥のトイレから水の流れる音がした。
「だ、誰か入ってた……」
あたしはコソッと理紗ちゃんに耳打ちした。
「大丈夫っしょ、ここ本屋だし」
そう、あたしたちは学校の帰りに本屋に寄っていた。
ここのトイレは個室が3つあるのだけど、入ってなくてもドアが閉まるタイプだから、入ってるかどうかわからないんだよね。
まさか彼女たちがいるわけないよね…
何となくドキドキしてしまう。
とにかくこの事実は、彼女たちにだけはバレてはいけないのだ……。
