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残飯ガール

第5章 もう食べられません

「恭也から色々聞いたの。迷惑かけたからお詫びにって、ここに来たんだよね」

「……あ……はい……」


え~久我くん、全部綾さんに話してるんじゃん。
二人だけの(理紗ちゃんもだけど)秘密だと思ってたのに……。



「ねえ、私からもお詫びをさせてくれない? まだ足りないみたいだし?」

「え? でも久我くんが今……」

「遠慮しないで。最後に沢山食べてね!」


そう言うと綾さんは、料理を取りに行ってしまった。
そして久我くんたちよりも早く戻ってきた。


「お待たせ。細野さん、お肉が好きって言ってたから、お店の人に頼んで貰ってきたよ」


ドドーン!とテーブルに置かれたそれは、巨大な皿に積まれた唐揚げだった。

たぶんこれ、ホールに出そうとしてたやつだ。


「…………」


嘘でしょ……
さすがのあたしでもこんなに食べられないよ……!


てか、もうけっこう食べてたし!



「あ、あの……ちょっとこれは……」

「え? 食べられるよね? 細野さん、大食いなんだよね?」

「いや、大食い……だけど……」


ハッと気づけば、周りの人たちがこっちを見てザワザワしていた。

ここで「食べられない」なんて言えば、もったいないことをしてしまうことになる。



あたしはチラッと時計を見た。
制限時間はあと30分。


……やるしかない!!!




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