
残飯ガール
第5章 もう食べられません
そんなことを食べながら考えてると、
「ねえ恭也、一緒に食べない?」
隣のテーブル席から綾さんの声が聞こえてきた。
チラッと見ると、綾さんたちのテーブルにはまだ焼く前のお肉が大量にあった。
「恭也~手伝ってくれ。ちょっと肉取りすぎた~」
「はあ?」
「なんだかこのお肉思ったよりも油っぽくて……ね、お願い。残すのはもったいないから一緒に食べてほしいの」
綾さんに可愛くお願いされて、久我くんはしょうがないなという顔をした。
だったら大量に持ってこなければいいのに…。
久我くん言ってたじゃん、食べれないのに取りすぎて残すとかもったいないことすんなよって。
あたしは心の中で毒を吐いた。
「細野、ごめん。ちょっと隣で焼肉食べてくる」
あたしは口をモグモグしながら頷いた。
本当は一人で食べるの寂しいけど…
「……ごめんな、一人にして」
「!」
今ちょうど思ってることを言われて、あたしは思わず久我くんの顔をジッと見つめてしまった。
「他のもの食べたかったら、俺に言えよ」
そう微笑みながら言うと、久我くんは隣の席に移っていった。
久我くん、優しい……
でも残念なことに、これ以上は食べられません!
