
誰かお願いつかまえて
第6章 ペットでもいいから
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(もう、朝か…)
いつもと同じように起き上がり、コーヒーを入れて飲み干す。
適当に身だしなみを整えて、朝食を食べながら新聞に目を通す。
時間になれば玄関を出る。
靴を履く時に目につく、昨日の菓子の紙袋。
俺は甘いものがそれほど好きではないから会社に持っていって誰かに食べてもらうとしよう。
(……誰かに、じゃなくて
幸村に、だろ………!)
昨日のことを考えないように避けていたが、早々に諦めた。
(今週1週間、何も気にしなければそれが当たり前になるはずだ。だから……)
幸村が幸せそうにしているならもういい。
岡崎さんだって尊敬する上司だ。あの人なら幸村は泣かなくて済むはずだ。
(分かっているのに……
なんでこんなに苦しい……!!)
なぜこんなに虚しくなるのか、分からないまま出勤した。
