
誰かお願いつかまえて
第6章 ペットでもいいから
俺がデスクに戻ると幸村は外回りに出たらしく、荷物がなかった。
「川端さん」
振り向くと南が立っていた。
幸村に話しかけるときとえらく声のトーンが違うのは……もういいや。
「この書類、ここが抜けてます。
私でよければやっておきますけど……資料って誰が持ってます?」
「あぁ……これは、幸村が持ってるな。
適当に机の上探せ、って言えない状態だしな、アイツの場合」
2人して隣のデスクを見る。書類が山になっている。
「なぜか幸村さんは外回りに出る前は散らかしていくんですよね…」
こればかりは南もフォローできない。
「少しでも必要そうな書類は全部持っていこうとするからな…
アイツ、何時に帰るって?」
そう聞くと突然南が真っ赤になって両手を横に振り始めた。
「わ、わたしから誘ったわけじゃないんです!幸村さんがお昼一緒に食べよう、って――」
「要するに昼前には帰ってくるんだな?」
昼飯の話は聞いてないっての!
「その後でも前でも資料もらって修正しといてくれ」
「前はだめです!食事中も仕事の話になっちゃ――」
「それはどっちでもいいから!
…よろしく頼む」
なんで南と会話するとこんなに疲れるんだ……
