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先生…お願い。早く治して・・・

第16章 告知



“ お嬢様…、大丈夫ですか?”

宮田は心配そうに綾の顔を覗き込んだ。


『…ぅ…うん…。』

綾は宮田に心配させまいと、精一杯の笑顔で答えた。

しかしその表情には疲れの色が見え
泣いてはいなかったが、明らかに目が腫れていた。


“よく頑張りましたね。"

と宮田は目を細めた。





石川はそんな2人をデスクのある方へ呼んだ。



「じゃぁ〜、こっちに座って」

2人は石川と向かい合うように、石川のデスクの前に座った。


綾は何を言われるのか、内心不安でいっぱいだった。


石川先生はデスクの上の大きなモニタを操作すると、
数枚の写真を映した。


綾は映し出された写真を見ても、何の写真なのか、良いも悪いも全く分からなかったが、医師免許を持つ宮田はモニターを食い入るように見ていた。



石川は、綾にも理解できるように、言葉を選びながらゆっくりと話し始めた。

「検査した結果、左胸と、卵巣・子宮に薬品に反応したとみられる物質が溜まっている事が分かったんだ。どちらも放置しておけば、益々その量と共に痛みも増すし、他の場所でも反応する恐れがある。だから、これ以上反応箇所を増やさないようにする為にも、定期的に排出させないといけないね。」


『……。』


ショックで言葉も出なかった。

そんな綾を心配し、宮田はそっと綾の肩に腕を回した。



『…先生……その…溜まってるの取れば治るの?』
精一杯の質問だった。


「…体の中に入ってしまった物を100%取り出す事は正直、中々難しい…。だから当面は治療をしながら経過を見ていこう」



綾の頭の中は不安で何も考えられなかった。









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