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Transcribe the Imagination

第11章 *Pandora's box

誰がどんなパンドラ箱を
持ってるのかなんて興味ない。

ただ自分のパンドラ箱を見てみたい。

「大野さん、飲み過ぎ」
「そんな飲んでねえよ」
「うわぁ、悪酔いだ。あー、やだやだ」

同僚で俺より二つ若い二宮。
敬語を全く使わないのに仲良くなった。

「大野さん、彼女とは別れたの?」
「とっくに」
「あれま、そりゃご愁傷様」

残り少ない生ビールをグイッと飲み干して、
二宮がもう一杯注文した。

「お前だって、飲んでんだろ」
「大野さんって酔うと饒舌だよね」
「ああ?お前はベロベロになるだろうが」

僕も残っていた生ビールを飲み干し、
もう一杯注文しようとした。

「あ、この人にはウーロンで」
「っんでだよ」
「今日、“良い事”聞いたんですよねぇ♡」

“良い事”を聞いた日の二宮は上機嫌。
いつもその“良い事”に僕を巻き込むんだ。

「今日は何だよ」
「大野さんの部署の櫻井」

え。櫻井君の良い事?

「今日、恵比寿の―――」

二宮の言う“良い事”はいつも色恋。
やっぱ櫻井君、モテるんだろうな……。

「――らしいよ、行く?」
「え、あ、うん、行く」

ほとんどの話を聞いてなかったけど、
部下の色恋は、見届けなきゃ……ね。

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