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Transcribe the Imagination

第11章 *Pandora's box

二宮は僕が行くと言うことを想定して、
隣の駅の目黒で飲んでた。

「用意周到だな」
「お褒めの言葉あざっす」

仕事も用意周到。
なんてデキるヤツなんだろう。

「あ、大野さん、あれ櫻井?」
「え、どれ?」

二宮の人差し指の先を見て、櫻井君を探した。

「あの黒いジャケット着た」
「あ、櫻井君だ」

スーツよりラフだけど、
キチッとした感じが櫻井君っぽい。

「あ、あれ彼女ですよー」

仲良さげに櫻井君の腕に腕を絡ませる女性。
遠目でも綺麗って分かるし、スタイルもいい。

「櫻井、あんな彼女いたんすね」

隣でシャッターを切り捲くる二宮。
いつもの事なのに、苛ついた。

「もう撮らなくていいんじゃない?」
「え?でも足りな――」

「もう撮っちゃダメ」

二宮のスマホを取り上げる。

「ちぇー」

にしても、本当絵になるな。
誰から見ても美男美女のカップルじゃん。

「大野さん、どうですか?部下の色こ――」

スマホを返して、立ち去ろうとした。

「ちょっと!大野さん!」

二宮に手首を掴まれた。

「離してよ!俺のが歳上だぞ!!」
「なんで泣いてんすか」

泣いてることに今更気づいた。

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