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Transcribe the Imagination

第11章 *Pandora's box

「え?何でですか?」
「ココ櫻井君の家だし、彼女さんに迷惑でしょ」
「彼女?」

追いかけてくる櫻井君を振り切り、
玄関で素早く靴を履いた。

「お邪魔しました。また、明日」

今日はたまたま祝日で休みだった。

「え、智さん!」

ドアを閉めて、階段を駆け下がる。
空はまだ薄暗くて、交通量も少ない。

そこに一台、黒い軽自動車が。

「あ、大野さん。おかえりなさい」

窓から顔を出して、微笑む二宮がいた。

「ど、どうして」

立ち尽くす僕に歩いて近づく二宮。

「ほらぁ、また泣いてる」

涙を拭われて、抱き締められる。

「ちょ、二宮…?」
「大野さん」
「は、はい」
「好きです」

パンドラの箱は誰もが持っている。
開けたら最後。災いが僕らを襲う。

でもその先には、希望が待っている。

もう僕らは開けてしまったのかもしれない。
自分自身の奥底に眠るパンドラの箱を。

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