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Transcribe the Imagination

第14章 **Childhood friend and rain

「やったあ!翔ちゃんの勝ちだね!!」

雅紀が飛び跳ねて喜んでいる。

「お、おう」
「翔ちゃん、翔ちゃん!」

ギューと俺に抱きついてきた。

「あ?」
「俺のこと好きになってくれる?」
「…約束は守る」
「ありがとう!俺も好き!」

雅紀は支離滅裂なことばっか言って、
いつも俺を困らせて、振り回して。

でも俺は昔から雅紀が好きで。

なんで、どうして
“あんな約束”したんだろうか。

素直に伝えれば良かった。
“好き”だと。

「雅紀…」

頭が真っ白になった。
何も考えられない。

「なあに?翔ちゃ……ん?」
「好きだ、お前が好きだ」

目の前が歪んだ。
なんだこれ。前が見えないじゃねえか。

雅紀の顔すら見えねえ。

「翔ちゃん、泣かないで…」

温かい何かが俺の頬を包んだ。
そして、温かい何かが唇に触れた。

それが手と唇と気付いた時には、
雅紀の胸に飛び込んでいた。

「うわぁぁあ」

なんで俺は泣いてんだ。
分かんねえ。

けど、止まんない……。

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