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Transcribe the Imagination

第16章 **Cream puff

案の定、五人掛かりで殴られた。
顔に五発、腹部に十発くらい。

「おい、反撃はどうした?」

俺は翔と付き合ってから決めたことがあった。
翔の彼氏として恥じない人になろう。

だから、
殴られても蹴られても反撃はしない。

痛くない。
て、思えばやり過ごせる。

「痛すぎて起き上がれないんじゃね?」
「アハハ!」
「だっせえな」

いくらでも殴ればいいだろ。
お前らには傷一つ作んねえからさ。

「あ、会長は?」
「え」

翔の名前が出てきて驚いた。

「会長?殴ったら、やり返してきたから腹に二発入れてやりましたー」

ピースをして笑った。
笑った?違う、嗤ったんだ。

「おおー!さっす……」

スクッと立ち上がる。

「やっとヤル気になりましたかー」
「おおー、腰抜かすなよ?」

関節をボキボキと鳴らしている五人。

「なあ、知ってた?」
「「あぁ?」」

五人の声が見事にハモって、
仲いいな、なんて呑気に考えた。

「指の関節、鳴らし過ぎると将来指が太くなるらしいよ」

リーダー格みたいな奴の指を見る。

「あ、もう太いから意味ないか」

そう嗤ってやる。さっきの嗤いを表現して。

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