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「んれ？驚かないの？」
「じ、十分、驚いてます！」

黒谷先生って、
思ってたよりも可愛い顔立ちだった。

でも……

「大野君、ほら見てみなよ」

手招きされたから、
傍に行ってノートを覗き込む。

「え、何すか、これ」

女子の名前と、好きな人の名前。
相談内容、相談に則った結果。

それに、黒谷先生の感想。

「え？恋愛メモ」
「な、何ですか！？この感想は！」
「あ、そっち？」
「そっちもこっちもないです！」

黒谷先生は相変わらずヘラヘラしてる。
眼鏡の縁を光らせて。

「俺さ、恋愛したことないんだよ」

眼鏡を置いて、ふぅと溜め息を吐いた。

「え」
「妄想で書いた恋愛小説がバカ売れしやがってさ。俺は、ホラーが書きたかったんだよ！」

机をバンッと叩く。

「ホラー書けばいいじゃないですか！」
「恋愛小説作家として有名な俺様が急にホラー書いたらファンが離れるだろ！！」

また机をバンッと叩く。

「そんな事情知りませんよ！」

なんで、
俺がキレられないといけないんだよ！