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Transcribe the Imagination

第21章 *Stoic collapse

「あ、電気ついてる」

マンションの自室に明かりが灯る。

いつもよりも少しオレンジ色だから、
間接照明だけ点いてるのかな。

なんて考えながら、
エレベーターで自室へと足を運ぶ。

鞄から鍵を取り出して、
鍵穴へさした。

ガチャッと音がして、
鍵が解除される。

「ただいまー」
「あ、おかえり」

ちょうど風呂上りの潤と出くわせた。

「潤、早かったな」
「違うよ、翔さんが遅かったの」

俺からフイッと視線を逸らされた。

「え?俺、遅かった?」

時計を確認しても、
ほとんどいつもと変わらない時間。

「ん?いつもと同じだよ?」
「翔さん、俺達約束したよね?」

まだ靴すら脱げていない俺に近付いてきて両手を握られた。

「約束?」
「あのね、翔さん。今日は何の日か覚えてないの?」

今日?
時計に刻まれる日付。

五月二十日。

「え?」
「翔さん、今日は二年目の記念日だよ」

五月二十日は、
俺らが付き合った記念日だった。

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