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Transcribe the Imagination

第3章 *Cream puff

「か」

潤の声なんて聞きたくない。
あの日から俺は潤から逃げている。

好きだから、傍に行きたいけど、
あんなこと言ってしまったから行けない。

「ねえ、会長ってば」
「え、あ、ニノか」
「何だその残念感」
「いや、残念がってないし」
「そ?はい、資料」

ニノは副会長で資料を纏めるのが得意。

「ありが――」
「あの不良と何かあったでしょ」

そして、鋭い。

「べ、別に」
「俺、知ってんだからね。」
「え?」

ニノが耳を貸せって言ったから、
耳をニノに寄せる。

「会長、好きなんでしょ?」

ボッと顔が赤くなったのが自分でも分かった。

「やっぱねー」
「ニ、ニノ!」

叩くとニノは楽しそうに笑う。

「なんで笑ってんだよ……」
「だって会長面白い」

戯れ合っていると、ニノがあっと声を漏らした。

「ん?どうしたの?」
「俺、戻るね!」

慌てて行ってしまった。
不思議に思いながら、振り返る。

「あっ」

凄い怖い顔をした潤がいた。

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