テキストサイズ

Transcribe the Imagination

第23章 *Cute that child

駆け足で編集部に向かう。

「え、翔……どうしたの?」
「ちょっと話があって」
「あ、うん」

それから黙ったから、
ここでは話しにくいのだと思った。

「遥ちゃん、会議室借りるね」
「あ、はい」
「翔、行こうか」
「うん」

会議室に入ると、
使用のプレートに変え、翔を座らせた。

「どうしたの?」
「あのさ……」

何故か気まずそうにしていて、
なかなか話し始めてくれない。

「翔、どうしたの?何かあった?」
「え、あったよ」

目の前にいるのは、俳優の櫻井翔。
じゃなくて、友達の櫻井翔。

「先に寝ちゃったこと?」
「違うよ」
「えー?」

もう心当た……あ。

「夢?」

そう聞いてみると、翔は顔を真っ赤にした。

「え、あ、マ、マジで?」

何で知ってるのかは分からないけど、
いつの間にかバレていた様で、翔は頷く。

「な、なんで?」
「寝言、で……」

嘘だろ。マジかよ。
寝言でバレるなんて……。

「軽蔑した?」
「え」

「俺も見たくないんだよね、男同士の夢とかさ」

翔は黙って俺の話を聞いている。

「俳優の櫻井翔が毎晩出てくるんだよ?」
「毎晩……」

「女の夢の方が見てぇ――」

乾いた音がした。俺の左頬から。

「は?」

叩かれた、と気付いて翔を見る。

「最っ低」

そのまま、会議室を出ていった。

何なんだよ。
俺が何をしたって、言うんだよ。

何で『最低』なんだよ。

くっそ…。
なんで、目が濡れてんだよ……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ