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Transcribe the Imagination

第5章 *Summer festival

「リンゴ飴食べたい」
「「はあ?」」

席に戻ると矢口が言った。

「リンゴ飴」
「はあ……自分で買ってこいよ」
「いや、雅紀、買いに行こう」

潤が歩き出した。
驚きつつも潤を追いかけた。

「なんで矢口の為に…」
「俺、綿飴食べたいの」
「え?子供かよ」
「久々の日本なんだよ」

ポカっと頭を叩かれた。

「雅紀はさ、好きな人とかいないの?」
「へ?いないよ」

人を好きになんてなったことない。
あるとしたら、中学校の時かな。

「そっか。じゃ、雅紀付き合って」
「ん?どこに?」

綿飴の屋台を見つけて列に並ぶ。

「俺と恋人になって下さい」
「……え」

「まいどー」
「ありがとうございます」

潤は屋台のおじさんに笑顔を向けていた。
その笑顔を俺は呆気にとられながら見ていた。

「雅紀、ちょっと抜けようか」
「へ?あ、あぁ…うん」

驚きがデカ過ぎて、
頭が真っ白になっている。

「あ、矢口のリンゴ飴は?」
「矢口のは小澤にお願いした」
「そっか……」

抜けるって、そういうことだよね?

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