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Transcribe the Imagination

第9章 *Plus natural

「はい、ドンマーイ!」
「チッ」

和也が押してる。
二人の点差は18点。

大野くんの今の実力なら勝てるはずなんだけど。

「はい、追加てーん」

まだうちのエースは余裕らしい。
俺の方が先にバスケ始めたのに。

なんて拗ねたりはしない。
だって、本当に凄いと思ってるから。

「あと何分?」
「え、あと2分」
「大野、また負けるぞ」
「うっせぇ……まだイケる」

顎下の汗を拭って、和也に向かっていく。

二人共、格好いい。
けど、大野くんに足りないものってなんだろ。

―――――

「見つけた?大野の足りないもの」
「全然見つからなかった」
「にしても、完敗だったな、大野」

点差は20点以上。
大野くん、負けず嫌いだな。

「じゃ、またな」
「あ、うん」

和也はボールをつきながら、帰っ―――

衝突音が聞えた。
足がくすんで動けない。

背後から黒煙。
ポンポンと、ボールのつく音。

「か、和也!?」

ボールは跳ねてた。
まだ鮮やかな赤がついていた。

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