1人じゃなくて。
第5章 No.5
「よし、それじゃ俺他の二人起こしてくるから待ってて。」
時計を見ると、もうとっくに9時をまわっている。こんな時間まで寝てるなんて…朝が苦手なんだな。と奈瑠は呑気な事を考えていた。
しかし…後の二人の内一人を見ると、そんな事は口が裂けても言えなかった。
…遅いなぁ。
すっぽりと体が沈むフワフワのソファーにもたれながら、奈瑠は退屈していた。
「……立てない…。」
昨日までは、走るという役目をしっかり果たしていた足が…今となっては何の役にもたたなかった。
「……はぁ」
何度目かわからない溜め息をもらしたその時…
───バンッ──
「すまん奈瑠!こいつ起こすのに手間取った!」
勢いよく扉が開き、汗を流した要がいた。
その隣には……ここの住人であろう男がいた。