1人じゃなくて。
第5章 No.5
前髪が鼻先まであって、サラサラした髪にゴミのような物をつけている細身の男性。
「………どうも…」
声を出したかと思えば、今にも消えそうな位疲れた声だった。
「そうじゃねぇだろ。名前だよ、起きてるか」
目の下にハッキリと濃いクマを作っている男性は、要に親指を立てた。
起きてます
彼の指がしっかりと意思表示していた。
「浪岡白羽(なみおかしろう)です。……シロでいいよ」
「…お邪魔してます。」
要曰く…格好いい名前とは裏腹に、犬を想像させる名前が彼は気に入っているようだ。
「…頭に何か付いてますよ。…?シール?」
シロの頭に手を伸ばした奈瑠に、シロはありがとうございます…と、奈瑠の目線でかがんだ。
「…あ―、そのまま寝ちゃってたか。」
綺麗な黄土色の髪の間には、黒白の模様がついたシールがあった。