1人じゃなくて。
第5章 No.5
「ありがと。捨ててくる」
奈瑠からゴミを受け取りゴミ箱へ捨てる。
気になったのか、ゴミ箱の上で頭を振っていた。
「…面白い」
思わず口に出してしまった。
それが聞こえたのか要が笑っている。
「飯作るか。」
どこからか、群青色のエプロンを取り出した要は素早く着替え、大きなキッチンに向かった。
「てっ…手伝います!」
リビングが広すぎるため大きめの声を出す。
奈瑠は「動けないだろ」と、要に笑われソファーに顔をうずめた。
「動けないの?」
シロが奈瑠の隣に座った。
「怪我をしてて、手当はしてもらったのですが…」
「痛そう。折角綺麗な足なんだから…気を付けなよ。」
そう言うと、シロはテレビをつけた。目元のクマは気になるが…長い前髪で気づかなかったシロの整った顔に驚いた。
さりげない気遣いに真っ赤になる。
そんなこととはよそにシロはアニメを見ていた。
『ふっ…笑わせてくれるわ。お前が私の弟?敵のお前が?ありえない!』
『本当なんだ兄さん!これ以上悪事をはたらく兄さんを見ていられない!!身内を攻撃する俺の身にもなってくれ!』
『知るかっ!弟だろうが俺の敵…容赦はしないぞ』
『待ってくれ!お願いだ兄さん!……ぐはっ!!』