1人じゃなくて。
第5章 No.5
「………え?冗談…」
「冗談じゃないよ。なんなら原稿見せようか?」
シロは立ち上がるとリビングから出ていった。
テレビアニメの原作者…原稿……あぁ、さっきの頭に着いてたシールはいわゆる漫画道具というものか。
奈瑠が1人で納得していると、要が朝ご飯を持ってきた。
「……いいにおい…」
奈瑠は早く椅子に座りたくて身を乗り出した。
「ふっ…危ないぞ―。そんなことしなくても、何時でも抱っこしてあげるから。」
「!…だっ!…すみません。」
『抱っこ』という言葉が気にくわなかったのか、奈瑠は頬を膨らました。
───バサ──
「はいこれ原稿。」
奈瑠の前に差し出されたのは、厚い紙の束と描きかけであろう一枚の絵だった。