テキストサイズ

1人じゃなくて。

第1章 No.1



「…っはぁ……はぁ…ふっ……はぁ…」

どれくらい走っただろうか。
段々強くなった雨は、少女の肩を容赦なく打つ。
「っ!痛た…」
突然痛みに襲われた足を見ると、沢山の切り傷がついていた。

「………大丈夫。あんなのに比べたら…この傷なんて……」

───ザァァァァ──


「寒い……」

近くの木の下で座るものの、葉は少女の上に雨を落とす。

「私どうなるんだろ。このまま死んじゃうのかな……。それとも、またあの男が…(ゾクッ)…それだけは嫌…。誰か………助けて…」

必死に手を伸ばした少女は、小さくて細い身体を抱えた。

「……っ!」

頭に激痛が走る。




一瞬暖かいものが肌に触れたような気がしたが、少女の意識はそこで切れた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ