1人じゃなくて。
第6章 No.6
「ちょっと先に食べててくれ。もう1人起こしてくる」
そう言って要はリビングから出ていった。
「大変そうですね…」
「これがいつもの事。でも、俺だって起きるときは起きてるよ。」
「徹夜の時だけど」
奈瑠の目の前に座っているシロは、朝ご飯の味噌汁を数秒で飲みきった。
「…お腹すいてたんですね。でっでも…もう少しゆっくり……」
「大丈夫。」
次から次へと、流すように食べるシロ。
…よく喉に詰まらないな。と奈瑠は思った。
「それよりさ、奈瑠ちゃんちゃんと食べてる?……大きくなれないよ。」
「…………はい。」
あれ?なんかいけないこと言った?
奈瑠は俯いている。
ここで『余計なお世話』などと言うと思っていたシロは、若干焦った。
「………ほら、もっと食べて。美味しいでしょ?要の料理。」
「…美味しいです」
いっきに空気が重くなった。
奈瑠は静かに泣いた
いくら声を抑えてるとはいえ、抑えきれていないものが目からたくさん溢れた。