1人じゃなくて。
第6章 No.6
「…………奈瑠ちゃん。まだ1人残ってる。……それは、俺だけに話したかった事?」
気が抜けた。
それもそうだ。シロさんだけに話して…その先の事を考えていなかった。
ここに住みたい。
なんでもする。
その為には、ここに住む皆さんの許可が必要だ。
「ごめん…なさい。焦っていました…」
「…じゃあ、今から皆揃うからその時に話しなよ。大事な事なんでしょ?……優しい人ばかりだから。」
シロは、あまり感情を顔に出さないのだろう。
まだ笑っているところを見ていない。
しかし、そう言ったシロの表情は…少し柔らかかった。
「何の話してるの?」
甘い声がした。
甘ったるいものではなく、どこか落ち着く声。
聞き覚えのない声の方に、振り返る。
そこには、要の言っていた『もう1人』の男の人がいた。