1人じゃなくて。
第6章 No.6
「あぁ、いきなりごめんね。驚かせちゃったかな?」
目の前の………すごい美形の人が笑うと、周りに薔薇が出るんだな。
と、一瞬暢気な事を奈瑠は考えた。
…シロより少し長めの髪が、眩しいくらいの金髪をより一層輝かしている。
そして
中心にある、直視出来ない程の"美"の顔がまた一層、金髪を引き立てていた。
「綺麗…」
思わずそんな事を、口から漏らしてしまった。
「……ふふっ、ありがとう。なんか複雑だなぁ」
「君が泣いているのが見えたんだけど……大丈夫そうで良かった。」
笑うと下がるキラキラした瞳の下には、小さな泣きホクロがあった。
「あ…!すいません、初対面の人に……………お気遣いありがとうございます。」
座って見上げる体勢の奈瑠の頬に、男はスッと指先で触れた。
「……君も十分綺麗だよ」
───チュッ──
「……え?」