
透明な糸
第1章 れっつ☆ごー
この世には、自分は二人いない。
それは当たり前のことで、そして当然のように偏見が生まれる。
というのは、十人十色というように、みんな一人一人個性があって、育ち方も、性格も違う。
そんな、様々な人々が“学校”という“集団”で過ごすわけでーー。
「ーー…もう、みんな…意見はありませんか?
これでクラスTシャツ決定ということでいいんですか?」
クラス委員の小野ちゃんが、周りをキョロキョロを見渡しながら、か細い声で、でもできるだけみんなに響くように、言う。
三週間後にある、文化祭でクラス全員が着るTシャツを、ロングホームルームで決めているが、積極的に意見を出す人もいれば、モゴモゴと近くの席の人と話し合う人もいれば、関係ないことを喋っているヤツもいる。
まあ、大体は関係ないことを喋っているヤツが多いんだけど。
