
透明な糸
第1章 れっつ☆ごー
「ねぇ、昨日のテレビでさぁー」
「ほんっとうちの親うざいんだよね、どっか行けっての」
「はは、めんどいよな」
大多数の人が、自分達の会話に夢中で、答えようとしない。
(…はぁ…少しは答えろよっての。)
「小野ちゃん、多数決取ったら?」
私は、困っているであろう小野ちゃんに、少し声を高くして、負担をかけないように言った。
小野ちゃんは、うん、と苦笑いをして、
「…ッあの、この右の方のデザインが良いと思う人ー…手を挙げてください」
左の方の人…と続けていくが、どっちもバラバラと挙げなかったり挙げたりで人数も合わない。
(チッ…どうせ、後から文句言うくせに、なんで今言わねぇんだよ…。)
心のなかで舌打ちをしつつも、周りにイラついてるのがバレないように俯いて唇を噛む。
