
愛してるって伝えたい
第3章 きっかけ
「あ、池田くん、ビールなくなっちゃうね。何にする?」
メニューに手を伸ばす。
すると池田くんが私の手首を掴む。
「えっ…?」
「黒崎さん、手小さいね」
そう言って手を撫でる。
「ちょ、どうしたの?!」
動揺を隠せない。池田くんは優しい目で私を見つめる。
「どうもしないよ。触りたかっただけ」
手からドキドキが伝わってしまう。何だか震えも出てきた。
「…そろそろ出よっか」
池田くんが席を立つ。手は握ったままだ。
私も慌てて立ち上がろうとすると、池田くんは私の指に指を絡める。
「気をつけてね」
