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いつか晴れたら・・・

第1章 第1章…ときめき

 高校生活もあと2か月で終わりを告げようとしている。2月は3年生は自由登校になっている。この機会に彩は地元の自動車教習所に通うことにした。

ドキドキしながら教習所のバスに乗っていると、先ほど駅に着いた電車から降りてきた大学生らしき他県の人たちがたくさん乗り込んできた。

 彩の地元はスキー場があり、冬になるとたくさんの客が来る。しかし年々その客の数も減少しつつある。そんな中この教習所は他県から合宿として、宿舎を用意し、教習の時間以外はスキー、スノボーし放題を売りにしていた。

 他県の大学生たちと一緒に入校式。彩は一人の男性に目が行った。目元がはっきりしていて、パッと見は少し近寄りがたい雰囲気があったが、友だちと話す姿は笑顔も多く、好印象だった。

 「わぁ~かっこいいなぁ。ここにいる間にちょっとでも話せたらいいなぁ。好きになったらどうしよう。」

と淡い期待を抱いていた。

 彩は女子高に通っており、これまで彼氏経験はなし。女だけの空間のほうが、クラスの誰かと誰かが付き合っただの別れただのなく、正面から本気でけんかもでき、心地よかった。その中にいたせいか、男の子を紹介してもらうこともあったが、付き合うこともなく高校生活を終えようとしていた。

 教習所に通う毎日が始まった。初めのほうは座学が多く、同じ入校日の人とは同じ時間に教習を受けることが多いことがわかってきた。部屋に入るとお気に入りの彼を探して、彼が見える、もしくは彼の視界に入る場所を選んで座るようにした。
地元にもかかわらず、友だちは夏休みに免許を取得した子が多く、彩は一人で座ることが多かった。でも、気になる彼がいることだけでなんだか楽しく感じられた。





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